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一瓶の薬局:ヴァージンココナッツオイルの話(9)

2015年07月15日 10:19 | コメント/トラックバック (0)

一瓶の薬局
善いオイル、悪いオイル
ヴァージンココナッツオイルの話
Drug Stores in a Bottle: Good Oil and Bad Oil

9 EVCOは糖尿病に効果

インドネシアのココナッツオイル
インドネシアはココナッツオイルの生産は世界一。この事実は意外と知られていない。
台風の被害がないため良質のヤシプランテーションが各島に展開されている。
特にスマトラ島での栽培は盛んで、台風の発生の国フィリピンとは対照的だ。

インドネシアの人々はココナッツと共生しているといっても過言でなく、自然栽培のココヤシの新鮮ジュースを喉の乾きに飲み、ココナツの胚乳はさまざまな料理の基本調味料だ。
ココナッツオイルは、揚げ物(テンペ、豆腐、魚など)、野菜炒め、焼き飯(ナシゴレンとして有名)、ホットケーキなど菓子類のオイルとして使用されている。

ヤシの核果を乾燥したものがコプラ。コプラから高温加熱、化学薬品処理したいわゆる精製ココナッツオイルが食用油として汎用され、また化粧品やマーガリンの原料として日本を除く世界中に輸出されている。
バイオディーゼル燃料への転換によりココナッツオイル価格が上昇する被害はインドネシアを巻き込んでいる。

インドネシアのEVCO研究
APCC(アジア太平洋ココナッツ委員会)のメンバー国でもあるインドネシアは、早くからヴァージンココナッツオイル(EVCO)の有用性や健康食品応用性に気づき、研究開発が進んでいる。
既に小規模ながらVCO製造は行われているが、工場の多くがジャカルタなどヤシ生産地から遠く、大量の新鮮ヤシ入手が困難な事、また新鮮な核果を使用しなければならないので他の食用油に比較し非常に高価なのが現状だ。

ヴァージンココナッツオイルの性状、特徴、化学組成などについては大半の人々は知らず、逆に新鮮なココヤシを日常的に使用している人にとっては、ヴァージンの意味は不要だ。
重要なことは、工業的に精製・脱色・脱臭し、かつ水素添加したココナッツオイルには健康被害に直結するトランス脂肪酸が含まれ、昔ながらの素朴なココナッツオイルが絶対的に病気の予防には有用である事を認識することだ。
精製ココナッツオイルに慣らされ大消費地の都会で暮らす現代人は、新鮮なEVCOの匂いにも抵抗がある。

この様な理由からEVCOは、インドネシアでも大きな市場には成長していない。
EVCOの有効性を科学的に評価し、確かなエビデンスを作り上げて行く国家的な方針のなさ、99%が小企業であることから研究開発が困難、自国農産物に高付加価値をつけることの意識の低さなどによって、VCO研究はあまり進んでいない。

2006年、インドネシア政府はEVCOの基礎的な研究から臨床応用までの研究開発プロジェクト案を作成し、日本政府に二国間共同研究を提案したが、日本政府の政府開発援助優先順位から外れており実現からはほど遠い見通しだ。
自動車金型の記述移転が最優先であったと聞いている。

その中でもインドネシアが誇るボゴール農業大学(IPB)とボゴールに本部を置く産業省傘下の農産物研究センター(CABI, Center for Agro-Based Industry, 所長Mr.Setiawan)は、EVCOのヒト健康への有用性を検討してきている。
著者らも少なからずCABIには助言等を行っている。

EVCOは糖尿病に効果
ボゴール農業大学とCABIは共同研究の一環として、糖尿病に対するEVCOの改善効果を最近報告した(CABI研究者Mr. Dadang Supriatna)。

アロキサンという糖尿病誘起物質をラットに投与して糖尿病モデルを作製し、VCOと市販の食用オイル精製ココナッツオイル(RCO)を経口的に与え血糖値に及ぼす効果を検討した。
EVCOとRCOは成人の摂取量を一日45mlから、これに相当する投与量を糖尿病ラットに28日間毎日連続経口投与し、4日毎に血糖値を測定した。血糖値の推移を下記の図に示す。

Aloxan DM
縦軸:血糖値mg/dl   横軸:投与後日数  SD系雄性ラット:1群5匹

EVCO投与により血糖値は、陽性対照(糖尿病)に比較し低下を示し、糖尿病に対する改善効果が明らかであった。
一方、市販の食用油である精製ココナッツオイル(RCO)は全く改善の兆候は認められなかった。
同時に血液中の総コレステロール、LDL、HDLおよび中性脂肪への影響を検討したが、これらの値の増加や減少は認められていない。
一般的にどの植物性食用油も加熱処理、部分水素添加処理によってトランス脂肪酸が増加し、健康被害の原因となっている。
ココナッツオイルの場合は90%以上が飽和脂肪酸であり、トランス脂肪酸の含有量は極めて少量(0.2%という報告がある)である。

市販のココナッツオイルは精製・脱色・脱臭の過程を経ており、少量のトランス脂肪酸が糖尿病の改善に妨害的に働いているように推測される。

結論的に言えば、ココナッツオイルといえども精製と称した人口処理をしないことが、健康維持増進、病気改善に善いといえるのではないでしょうか。

CABI COCONUT


はじめに

1.一瓶の薬局
2.秘かなココナッツオイル研究
3.ココナッツオイルの政治経済的歴史
4.アメリカの毒:アメリカ人は何故デブか
5.メタボリック・シンドローム
6.必須脂肪酸
7.トランス脂肪酸
8.1900年代初頭アメリカの心臓病
9.EVCOは糖尿病に効果
10.EVCOでダイエット(1)
11.食用油は短命の原因
12.EVCOでダイエット(2)
13.ファーストフードのトランス脂肪酸
14.粥状硬化の発症:神話と新しい事実(1)
15.粥状硬化の発症:神話と新しい事実(2)
16.カノーラオイルは安全か

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