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ブアメラの世界から:その1

2018年09月06日 14:30 | コメント/トラックバック (0)

ブアメラはパプア島先住民の栄養機能性食品
 
パプアは6万年の歴史
20万年前にアフリカで生まれたホモ・サピエンス(現代人)は、10万年前に脱アフリカを始めました。
アフリカを去る理由はわかりませんが、病気の蔓延、干ばつなど気候変動、人口増加に伴う食糧不足が考えられます。

アフリカを去ることを決断し、 一部はヨーロッパを北上してシベリアへ移動しました。。
また、一部は中東から海岸沿いをインドなど南アジアを経由して、東南アジアへ。
この当時は氷河期のため海面は現在よりかなり低く、現在のインドネシア、マレーシアなどは陸続きの状態でスンダ大陸を形成していました。
ですから、移動には大型の船などは必要でなくあるいて、あるいはすぐ近くに見える島にはカヌーや筏で移動できたでしょう。

最も東、大海原の太平洋に面したパプア島達したのは約6万年前です。
パプア島とオーストラリアは陸続きでサフル大陸という形で一体化していたのです。
一部のホモサピエンスは、オーストラリアへ移動し、現在のアボリジニと呼ばれる先住民です。
 
ホモサピエンスの脱アフリカの移動ルート

また、東アジアへも移動し、我々の祖先である縄文人の祖先であったと推測しています。
フィリピンの山岳地帯には、今でも黒い肌とちじれ髪のアエタと呼ばれる民族が暮らしていますし、黒人先住民を想い出させる祭りも残っています。
 
生活環境に適応し、容貌などに変化を及ぼすのは3,000年が必要と言われています。
1世代の年数を20年と考えますと、約150世代で体質は変化します。
何百、何千世代も経て、気候・環境にあった形質転換が起きるのです。
同じ期限のホモサピエンスでも、寒冷な欧州大陸に移動した人々の肌は紫外線から皮膚を守る必要がなくなり、いわゆる白人となっています。
 
私たち日本人は、黒人と白人の中間の黄色人種と変化しました。

パプアは赤道直下の熱帯気候
パプアに移動した人々が現在のパプア人であり、アフリカと同様の気候の故に、黒い肌、天然パーマの毛髪が維持され、パプア人の特徴的となっています。
パプアに移動した人々は、もともとは海の狩猟採集民族ですが、恐らく熱帯病、特に死亡率が非常に高く奇病に見えたと推測されるマラリアから逃げるため、多くの家族集団が標高2000m以上の高地に逃げて行ったと思われます。
約3万年前のことです。
幸いにも地球寒冷化は温暖となり、高地のも多くの樹木が繁茂し始、それに伴い食用の動植物も豊富だったと思われます。
 

典型的な住居ホナイとダニ族の先住民
 
脱アフリカのホモサピエンスは、一気に何千人もの人々がアフリカを後にしたわけでなく、せいぜい数家族程度の集団が長い年月をかけて移動していったものと思われます。
パプア島でも言語・文化は集団ごとに違い、パプア島だけでも数百の言語があります。
 
ブアメラは栄養機能性食品
少なくとも3万年前にパプア高地に移住したパプア先住民は、動物性蛋白源として有袋類
など、あらゆる生き物を狩猟して食用としました。
自然に植生するタロやヤムなどの根茎類を植物性食品として利用し、後には栽培するよにもなっています。
パプア高地の先住民は、世界で最初に農業を行った民族として知られ、彼らの農業技術は先進国以上と定評があります。
植物から炭水化物やビタミン・ミネラルを摂取し、腸内細菌は空気中の窒素を利用してアミノ酸を生産し、たんぱく源としたともいわれています。
しかしながら、たんぱく質、ビタミン類、特に脂溶性ビタミンや脂肪の摂取は十分だったとはいえません。

高地の動物が狩猟採集によって絶滅した後は、自然植生するブアメラ(タコノキ科マリタ、先住民はタウイと呼ぶ)から、動物性脂質と同じ脂肪酸組成のオイル、そして脂溶性ビタミン(プロビタミンA, ビタミンE)を取り入れるようになったのです。
ブアメラの利用により、衣食住の不完全で寒い過酷な環境でパプア先住民は生き残り、栄えてきて他のです。
 
様々大きさのブアメラ

1938年に初めて世界に紹介されたバリエム峡谷に住むダニ族は、発見時には新石器時代と同じ文明でありながら、5万人の大集落を形成し、高い農業技術とブアメラ利用の智慧によって生存していたことに驚くとともに敬意を隠しきれません。

ブアメラはパプア高地起源の稀少植物
少なくとも3万年前に高地に移住したパプア先住民は、赤い果実ブアメラを発見し、その有用性を発見したと思われます。
それが、ω‐3,6、9の脂肪酸を含む豊富な脂質、現代人にも不足しているカロテノイド類、ビタミンEやステロイド合成の基礎材料となる植物ステロールなどの栄養機能性成分です。


中央メンブラモ県知事Pagawak、於ジャヤプラ

中央メンブラモ県知事Ricky Ham Pagawak氏は、ブアメラはパプア高地起源の植物であり、他地域から持ち込まれたものでなく、祖先から受け継いできた貴重な有用植物であると断言しています。

低地に植生するブアメラは、高地から持ち出され移植されたものです。
パプア島以外のオセアニアでは、タコノキ科の植物は広く分布していますが、ブアメラ種は一切見当たりません。ブアメラ(赤い果実という意)は、パプアとは人類学的、文化的にも全く異なるマレー系インドネシア名です。ですから、ブアメラの英語や日本語の植物名はありません。
著者は、アカイタコノキと命名しました。
 
ブアメラはパプア島にだけ植生し、生物多様性を示す代表的な稀少植物
 

ブアメラと先住民、於ドギヤイ県
 

参考出典:
1大塚柳太郎編 モンゴロイドの地球(2)
2興亡の世界史20、人類は何処へいくのか
3MK Roreng, TM Nishigaki, Papuan people and Buah Merah
4 K Muller, Introducing Papua
5 AJ Marshall, BM Beehler, The Ecology of Papua, Part One

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