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バニラビーンズ、タヒチ種とバーボン種の官能比較

2020年09月30日 15:45 | コメント/トラックバック (0)

バニラビーンズ、タヒチ種とバーボン種
直感的官能評価

バニラビーンズ
バニラビーンズは、ラン科のつる性の植物。
ポッドと呼ばれる鞘付きの種子を発酵あるいはキュレーションという工程を得て、誰でもご存知の香気あるバニラの香りを発するようになります。
100種類もあると言われるバニラビーンズの内、現在食品香料に使用されるものは概ね三種類です。

①バニラ(バーボン種、バーボン・マダガスカル種)Vanilla planifolia,あるいはV. fragrance
 一般的に汎用されているもので、南北緯20度以内の熱帯性気候地域で栽培されています。
ニシインドバニラV. pompona 
 バニラより芳香は劣るが性強健作用があり、バニロンとして食品香料のバニリンの原料として使用されるようです。
タヒチアンバニラ(タヒチ種)V. tahitensis 
 フランス領タヒチ島に導入され、バーボン種、ニシインドバニラ及びV. odorataとの交雑種であることが確認されています。

この中で最も栽培が難しく、多様な香気があり、最も高価で日本では稀少なものがタヒチ種バニラビーンズです。


香気の評価
官能評価という人間の五感を利用したものの評価方法があります。
薬の世界では、五感の内の視覚(色調)、嗅覚(匂い)、味覚(味)で薬用植物や化学物質を見極めます。
医療の世界では視覚(診る)、聴覚(聴く)、触覚(触る)、時には嗅覚(嗅ぐ)を必要とします。
食品の世界では、視覚、嗅覚、味覚、時には触覚で判断して、品物の評価や製品化をおこないます。

十人十色ですから、五感を使用しての評価は難しいですね。
特に香気となると、人によって好き嫌い、生活環境、嗅覚細胞の健康性などが絡んで確実な一定評価は困難になります。

官能評価では、何人もの評価者によって、一般によく知られた事象になぞらえた用語を使い共通のイメージを一致させる手法がとられます。
よって、人の五感に影響されないように、官能検査に加えて機器による香気物質の分析や段階希釈法による評価も行われます。

タヒチ種とバーボン種バニラビーンズの官能評価
バニラビーンズのタヒチ種とバーボン種の官能評価、香気物質の定量評価、香気物質の強度による文献考察がなされています(こちら)

今回、40代、50代、60代の主婦各1名によって、タヒチ種とバーボン種の香りの直感的感想評価をしてもらいました。
当然、盲検試験です。

 タヒチ種バーボン種
40代女性甘い、フローラルな香り車内で使用する清涼剤の匂い
50代女性バーボン種に比べて甘い感じーーーー
60代女性本当のバニラの香りーーーー

 

残念ながら評価は両者の比較となってしまいましたが、いずれの方もタヒチ種バニラビーンズを好ましいとの感想です。


タヒチ種の大きな特徴として、
1.  官能評価でフローラル(花の香気)な香りが強く、バーボン種のようなを乾燥果実・樹脂・木材系の匂いが少ないこと。
2.揮発性成分の定量分析で、タヒチ種のバニリン含量はバーボン種に比べて少ないが、アニス系成分が多い。
  一方、バーボン種の場合、揮発性成分の種類が少ない。
3.タヒチ種の香気成分分布はバーボン種と異なり、バニリンに加えてアニスアルコール、アニスアルデヒドなどアニス化合物の関与が大きい。
  これらがタヒチアンバニラビーンズの多様な香気の要因であり、バーボン種とは区別される。
と報告されています。

今後、日本でスウィート、ケーキ、菓子、飲料などにタヒチ種バビラビーンズが使用されることが多くなると思われます。
合成バニリンの香りに慣れた方々には、はじめは奇異な香気と感じられるでしょう。

香気は食品の味に影響するだけでなく、精神面にも影響を及ぼします。
タヒチ種バニラビーンズで豊かな生活を楽しんで頂きたいと思います。

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