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M&Kpedia; 赤い果実ブアメラ

2023年11月23日 15:00 | コメント/トラックバック (0)

パプア島の稀少果実
赤い果実ブアメラ

分類

界:植物界
門:被子植物
綱:単子葉類
目:タコノキ目
科:タコノキ科
属:タコノキ属
学名: Pandanus conoideus Lam.
和名:なし(アカイタコノキと西垣が命名)
現地名:Buah Merah, Tawi, Tawawi
英名:なし(直訳でRed Fruit)

ブアメラとは

インドネシアの世界で2番目の大きな島はパプア島、以前はパプアニューギニアと呼ばれていました。
赤い果実ブアメラは、タコノキ科の植物Pandanus conoideusに結実する果実。
タコノキ科の植物は熱帯地方に分布しますが、赤い果実ブアメラはパプア島およびその周辺だけに植生しています。
巨大な赤いトウモロコシという表現ができるでしょう。
大きな果実は、長さ1m、重さ10㎏もあります。
この果実が、過酷な環境で3万年も耐過生存し続けてきたパプア先住民の重要な栄養機能性食品です。

 

背景

ブアメラが注目されたのは、パプア島に派遣されたキリスト教宣教師により先住民の文化習慣、栄養性、換金性から栽培を先住民に広く奨励し、ジャワ島等に紹介されたことによるものです。
過酷な気候、生活環境で先住民が3万年も耐過生存に必要とした果実であると推測されていました。
2000年に(株)エムケーラボラトリーズ(以下M&K)はインドネシアを原産とするメンクド・ベサール(通称ノニ)ジュースを初めて日本に紹介した。
ノニ果実は、インドネシア現住民の6000年の医薬品として利用されていたが、栄養的にカロテノイドが不足しています。
M&Kの西垣博士は、インドネシア原産のカロテノイドを豊富に含む植物を探し求めていた。
2005年、西垣博士はパプア島高地ワメナに赴き、ブアメラと先住民の密接な関係、先住民にとって不可欠な栄養食品であることを確認した。
直ちに、長崎大学薬学部研究グループ(当時の中島憲一朗教授)との共同研究でブアメラオイル中にカロテノイド4種類を分析、確認した。
特に主要なカロテノイドとして、β‐クリプトキサンチンが多く含まれていることを世界で初めて発見した。
2007年、生物多様性条約に基づきインドネシア政府とM&Kは物質移転協定(Material Transfer Agreement, MTA) を締結し、日本へブアメラの持ち込みを可能にした。
以後M&Kは、長崎大学薬学部、インドネシア工業省研究所(Center for Agro-Based Industry, CABI)や他の研究機関とブアメラオイルの安全性・薬効・製品化について共同研究を実施している。


インドネシア政府の第1回革新的栄養機能性食品に推奨され(IID2017),
日本・デンマーク・インドネシアの4者覚書の調印がされている。

パプア先住民とブアメラ

約20年前に現代人であるホモ・サピエンスがアフリカを旅立ち、アラビア半島を経て北、東に拡散し、ホモ・サピエンスの現在の世界が出来上がった。
インド洋沿岸を東に向かった種族が辿り着いたのがパプア島であり、約6万年前と推測されている。
氷河期が終わり始め温暖化が進むに連れ、海水面は上昇し、魚介類の収穫が減り、かつマラリアに悩まされた一族は、標高2000mにおよぶ高地へと避難しました。
約3万年前の事です。

現代人としてのパプア先住民のアフリカからの移住経路


パプア先住民の用途

パプア島の高地に移住した先住民は、野生動物を狩猟し動物性食料原料としましたが、間もなく枯渇したようです。
昼夜の激しい寒暖差、裸同然の生活のなかで生存できたのは、赤い果実ブアメラの有効利用方法を見つけたからと推測され、今なお先住民の貴重な食料です。
強大な赤いトウモロコシ様の果実は硬く、蒸すことによって表面に蜂の巣状に直立する種子の周囲の果肉を柔らかくし、手で揉んで果肉オイルを取りだします。
伝統的な芋、野菜類、非常に高価、かつ稀少な豚肉を蒸し焼きにし、ブアメラオイルをソースにして食べるのです。
ブアメラオイルは、人の脂肪と類似の脂肪酸組成でω₋3,6の必須脂肪酸、並びに脂溶性ビタミン類を含んでいます。

インドネシアでの規制当局

インドネシアでブアメラが注目されたのは約20年前。
キリスト教伝道師がブアメラが先住民の不可欠な栄養機能性食品であることに気づき、ブアメラを栽培することを先住民の多くに教えたことによります。
パプア島先住民は1938年に世界に知られたばかりで、インドネシアがオランダから独立後に豊富な地下資源のため、マレー系民族のジャワ政府から独立は認められず、併合されてしまった経緯があります。
ジャワ島のインドネシア中央政府からみても、パプア先住民は人類的、文化的、歴史的には全く異民族であり、パプア島は未開の地として位置づけられています。
ブアメラの有用性が広く知られるようになり、インドネシアの保健省はブアメラをインドネシアの固有の薬用植物と認定し、現在では熱帯薬用植物ジャムゥとして登録されている。

栄養成分

20年前、インドネシアでの栄養分析成績が散見されているが、扱う数値や単位に矛盾があり全く麗容できないものであった。
2005年に西垣がブアメラオイルを持ち帰り、長崎大学薬学との共同研究が始まり、日本での成分分析が行われてから全体像が明らかになったと言えます。
有用成分であるカロテノイドには、ベータ・カロテンの他にアルファ・カロテン、アルファ・クリプトキサンチン、ベータ・クリプトキサンチンの存在を世界で初めて確認いたしました。
財団法人日本食品分析センターでの栄養脂質等分析で、人の脂肪成分に類した脂肪酸組成が明らかにされ、高濃度のビタミンEやフィトステロールが含まれ、トランス脂肪酸は含まれないことも確認されています。

上記の栄養成分・機能性成分は一例であり、ブアメラオイルの抽出方法、収穫時期、分析機関、分析方法によって変動すると言えます。
天然物のもつ運命です。

有用性・薬効能

元来、緑黄色野菜・果実を摂食する人々にはがん発生が少ないことが知られている。
20世紀末に合成ベータ・カロテン大量投与による肺がん抑制作用の大規模臨床試験の結果、ベータ・カロテンは肺がんのリスクが高まることが報告された。
この結果から、肺がんに効果があるのはベータ・カロテンでないことが示唆され、ベータ・クリプトキサンチンが抗肺がん作用物質であることが確認されている。

このように、今まで十分に知られていない微量栄養素ベータ・クリプトキサンの欠乏が多くの加齢性疾患(肺がんなどの多くのガン、骨粗しょう症など)や現代社会に特有な諸症状(にきび、脱毛などの皮膚疾患)に関係していることが示唆されてきている。

また、パプア先住民の経験から白血病に効果があり、単に健康食品の範疇から医薬品(インドネシア語でObat)として見直されている。
ブアメラを日本で紹介してから体験報告もあり,ベータ・クリプトキサンチンの健康への寄与、病気治療に広まってゆくものと思われます。

 

奇跡的ともいえる口腔粘膜の悪性黒色腫(メラノーマ)のブアメラオイルによる治癒例

 

安全性

パプア先住民による3万年にも及ぶ食経験は、現代のいかなる安全性試験に勝るものです。
実際、パプア州における健康調査においてもブアメラに起因する病気の発生の報告は聞かない。
現在もなお連綿と食され、換金果実としての価値も高まっている。

とはいえ、国家安全性規定に基づき急性毒性試験、亜急性安全性試験、突然変異原性試験、トランス脂肪酸、残留農薬や重金属分析、微生物学試験を行い、安全性は確認している。

用量

パプア先住民の食生活では、毎日ではないがブアメラオイルを1回に約30gを摂取している。
微量栄養素ベータ・クリプトキサンチンは体内に長期間貯蔵されず、抗酸化作用やビタミンAとして速やかに利用される。
よって、毎日摂取する必要があり、体内への蓄積による有害作用はないと考えられる。
安全な食用油脂として、特に上限はないが経験上1~3g/日の摂取で骨密度の増加が確認されている。
摂取量は、個人の食生活によっても変化するするものと考えられる。

日本での利用

2007年にブアメラオイルの軟カプセル製剤が栄養機能食品として流通している。
オイルそのものも販売されている。

最も期待される分野としては、肺がん、骨粗しょう症、子宮頸部がん、肝機能改善、関節痛、削痩改善などである。
美肌・にきび・育毛効果は、飲用することによる化粧品分野に応用されている。

化粧品登録はされ、表皮細胞の増殖作用、抗酸化作用などに基づき、化粧石鹸の開発が進んでおり、今後シャンプー、クリームなどへの利用がされることが期待できます。

その他

ブアメラはパプア島にだけ自然植生する稀少果実であり、国連の生物多様性条約の対象植物である。
M&Kはインドネシア政府とブアメラ植物全般の物質移転協定を締結している。
インドネシア政府ととM&Kは、ブアメラオイルの抽出方法の基本特許も取得している。

出典

  1. Ohtsuka R, 1995. Encounter with South Pacific (Series Mongoloid Peoples in Time and Space). University of Tokyo Press, Tokyo, Japan.
  2. Waspodo I, Nishigaki T, Nakashima K. 2007. Indonesian Herbal Plants; Morinda citrifolia, Pandanus conoideus and Cocos nucifera, for Women’s Health and Anti-Aging. International Conference on Traditional Medicinal And medicinal Plants. Proceeding p44.
  3. Wada M, Fujimoto Y, Ikeda R, Nishigaki T, Nakashima K. 2009. HPLC Quantitative Analysis of Tropical Plant, Buah Merah with a HPLC. Presentation at Nagasaki General Public Health Research Conference.
  4. USDA National Nutrient Database for Standard Reference, Release 18.
  5. Voorris RJ, Goldbohm RA, Brants HA, van Poppel GA, Sturmans F, Hermus RJ, van den Brandt PA. 2000. A prospective cohort study on antioxidant and folate intake and male lung cancer risk. Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 9:357-365.
  6. Nishigaki T, Hirose T, Shigematsu H. Antitumor Effects of Pandanus conoideus in in vitro and in vivo Studies. Under publication.
  7. Siregar S. 2005. Certificate of Acute Toxicity, Testing No.:64/LF/V/2005.
  8. 博士の愛したブアメラ、西垣敏明、中島憲一朗著、郁朋社
  9. Mayuko Hatai, Hisae Yoshitomi, Toshiaki Nishigaki, and Ming GaoInhibitory effect of Buah Merah oil on melanogenesis via degradation of tyrosinase..J Agro-Based Industry. 2018; Under publication.
  10. Mitsuhiro Wada, Kaori Fujimoto, Toshiaki Nishigaki, Erna Febriyante, Rie Ikeda and Kenichiro Nakashima. DETERMINAT10N OF α- ANDβ-CRYPTOXANTHINS, AND α- ANDβ-CAROTENS IN BUAH MERAH OIL BY HPLC-UV DETECTION. J Agro-Based Industry. 2013; 30(1):1-8
  11. Takanori Maeda, Haruka Miyakita, Manami Goto, Akemi lto, Hendra Wijaya, Inggrid S. Surono, Toshiaki Nishigaki. MUTAGENICITY STUDY OF PANDANUS CONOIDEUS OIL. J Agro-Based Industry. 2013;30(2):21-30
  12. Mathelda K. Rorweng, Toshiaki Nishigaki. BUAH MERAH AND PAPUAN PEOPLE. J Agro-Based Industry. 2013;30(1):37-48
  13. Toshiaki NISHIGAK11, Fitriya N.A. DEWI, Hendra WIJAYA and Hidekazu SHIGElATSUl. ACUTE AND SUBACUTE TOXICITY STUDIES OF PANDANUS CONOIDEUS (BUAH MERAH) EXTRACT OIL IN SPRAGUE DAWLEY RATS. J Agro-Based Industry. 2011;28(1):11-20
  14. Toshiaki NISIIIGAK1, Kunitaka HIROSE, Ingrid S. Surono and Hidekazu SIIIGE IATSU. ANTITUM0R EFFECTS OF PANDANUS CONOIDEUS IN INVITRO AND IN VIVO STUDIES. J Agro-Based Industry. 2011;28(2):1-7
  15. Mitsuhiro Wada, Megumi Kira, Hirotsugu Kido, Rie Ikeda,

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