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M&Kpedia:ヒハツ, ジャワナガゴショウ

2018年03月03日 10:56 | コメント/トラックバック (1)

ヒハツ、ジャワナガゴショウ

分類

界:植物界
  被子植物
  双子葉類
目:コショウ目
科:コショウ科
属:ジャワナガゴショウ属
種:ジャワナガゴショウ
学名:Piper retrofractum VAL
和名:ジャワナガゴショウ, ヒハツモドキ、ヒハツ
現地名:Chabean, Lada panjang
英名:Javanese long pepper

Javanese long pepper red M&K 3

ジャワナガゴショウとは

ジャワナガゴショウはジャワ、スマトラ、タイなど東南アジアに自然植生するコショウ科のつる性の常緑灌木。
コショウ、インドナガゴショウ、ヒッチョウカ(尾つきコショウ)、キンマなどと同じ仲間。
ジャワナガゴショウは、標高600mまでの熱帯気候で育ち、つる性のため支柱があれば10mにも達する。
花は花梗上に多数穂状に着生し、花穂長は3.6㎝、果実は成熟して赤くなる。
赤熟果実は非常に辛く、強い芳香があり、乾燥すると黒色となる(1)。

Javanese long pepper M&K 1

類似種と呼称

コショウ科には11種類が記載されており、アジア、太平洋地域原産は次の6種類である(1)。
キンマ(Piper betel), ヒッチョウカ(P. cubeba), インドナガゴショウ(P. longum) , カバ(P. methysticum), コショウ(P. nigram), およびジャワナガゴショウである。

日本では、沖縄に伝搬されて栽培がされている。

インドネシア、伝承医薬品ジャムゥとしての使用

ジャワナガゴショウの果実は、インドネシアでは広く使用される香辛料の一つである。
また、伝承医薬品ジャムゥとして発熱、高血圧、疲労、腹痛、かっけ、インフルエンザ、コレラ、胃衰弱、無気力、インポテンス、神経衰弱、回虫駆除に使用される。
根は歯痛の治療に有効であるとされている(2)。

 nonibo3

 

 

 

 

 

 

 

インドネシアの伝承医薬品ジャムゥを

製造・販売するジャムゥ・ゲドン
母娘間で秘伝の製造方法が継承される

 

 

生産加工

ジャワナガゴショウの原産国インドネシアでは、広く栽培され乾燥品、その粉末製品が生産される。
インドネシアでの栽培には、農薬や化学肥料は一切用いていない、有機栽培である。
肥料はヤギの糞あるいはドロマイト(苦灰石、白雲石)を使用する。
専用の農園で苗木を植え支柱に絡ませ、6か月間は適宜水を与え、その後ヤギの糞あるいはドロマイトを施肥する。
その後3~4か月で小さな未熟な果実が付き、1か月後には果実は赤く成熟し収穫される。

赤熟果実は水洗後短時間の熱湯処理を行い、清浄な環境下で天日干しによって乾燥させる。
赤い果実は黒色になる。

生産量の統計はないが、ほとんどは国内で消費され、インドなどに輸出されている。

Long Pepper powder 30g

ジャワナガゴショウの粗挽き

Java Long Pepper powder

ジャワナガゴショウの粉末

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ジャワナガゴショウの飲料、インドネシア国産

成分組成

コショウ科果実の成分は様々な方法で抽出され、主要な有用成分はピペリンであることが確認されている。
「EJヒハツ100%パウダーMKP」のピペリン含量は、国内での分析で2.9g/100gであった(3)。

Piperine1

ピペリン (Piperine)
化学式:C17H19NO3 分子量:285.34、CAS登録番号:94-62-2

他成分として、pipercide, guineeensine, piperlongumine, retrofractamides A, C, D, pipernonaline, および数種のpiperidine 誘導体アミド系物質が確認されている(4)。

Piperlongumineにはストレス抑制、鎮痛作用、抗炎症作用、抗菌作用が報告されている(5)。
ジャワナガゴショウはインドナガゴショウより多くのピペリン、含油樹脂、精油成分が含まれており、抗うつ作用が示唆されている(6)。
コショウ科果実に含まれる有用成分ピペリン含量は、報告者や抽出方法によって異なるが、コショウ>ジャワナガゴショウ>インドナガゴショウ>キンマの順に多い。

 

効能

インドネシアでは、ジャワナガゴショウを様々な疾病に利用している伝承医薬品ジャムゥに位置づけられる(インドネシア、伝承医薬品ジャムゥとしての使用の項参照)。
最近の報告では、①神経栄養活性作用、②抗うつ作用、③催淫作用、④乳がん抑制作用、⑤抗肥満作用、⑥メタボリックシンドローム改善、⑦抗リューシュマニア、⑧蚊駆除作用が報告されている。

有用成分ピペリンの効果

コショウ科果実の主要有用成分ピペリンには、抗肥満作用(7)、メタボリックシンドローム改善(糖、脂肪代謝改善)作用(8)や一酸化窒素を介した軽度高血圧の改善作用が報告されている(9)。

栄養成分

ジャワナガゴショウの乾燥果実は植物検疫、食品検疫後輸入され、粗砕・殺菌・乾燥・粉砕・梱包・商品化される。
日本国産のヒハツ粉末(EJヒハツ100%パウダーMKP)の栄養・安全性分析結果を下記に示す(10)。

栄養成分1)

分析値(/100g)

エネルギー

360 kcal

水分

7.9 g

たんぱく質

12.5 g

脂質

2.5 g

炭水化物

71.9 g

灰分

5.2 g

ナトリウム

12 mg

微生物2)

 

 一般生菌数

<250/g

 大腸菌群

陰性

重金属(Pbとして)3 )

<6 ppm

 Pb4)
  Cd
  Hg
  As

<0.040 ppm
<0.005 ppm
<0.005 ppm
<0.003 ppm

残留農薬(276項目)5)

定量下限値以下

1)(株)江東微生物研究所、2)(株)百年生物化学研究所、3)(株)江東微生物研究所食品分析センター、4) Center for Agro-Based Industry (CABI), Ministry of Industry, Indonesia、5)(株)日本食品機能分析研究所

微生物、重金属、残留農薬検査の結果から、「EJヒハツ100%パウダーMK」は安全は香辛料、調味料あるいは健康食品素材といえる。
なお、インドネシア原産のヒハツは放射性物質による処理は行っておらず、有機溶媒や食品添加物は一切使用していない。

有用成分ピペリンの安全性
ピペリンの作用として様々な化合物の生物学的利用能を高めることや薬物代謝酵素を阻害し薬物との相互作用があることが報告されている。
ピペリンの多量摂取は健康被害を引き起こす可能性が懸念される。

日本では、機能性表示食品として緑茶にピペリンを添加した食品が販売されている。
ピペリンの1日摂取量である90μgが、収縮期血圧140 mmHgの対象者(高血圧患者でない)で血圧を下げると言われている(9)。

一方、インドネシアでは有機溶媒等でピペリンを抽出して摂取するのではなく、伝承使用に基づき飲料の香辛料や調味料として使用する。

米国FDAは、食品添加物ピペリンの「一般に安全と認められる」(GRAS 、Generally Recognized as Safe)基準を13.7 mg/人/日としている。

利用

インドネシアと同様にコーヒー、お茶などの嗜好飲料に加えての使用、また料理に香辛料および調味料としても期待される。
ヒハツ果実の粗挽きは、コショウに変わる新規の香辛料として肉料理に利用できる。
また。ヒハツの粉末は各種天然素材の栄養機能性の血液循環器系健康食品に加えることによって、機能性に相加・相乗的な効果が期待できる。

副作用

ジャワナガゴショウを単に食品として摂取する場合、恐らく安全性に問題はないと考えられる。

しかしながら、コショウの抽出物を摂取した場合、ピペリンが濃縮されている。
この抽出物を多量に飲用した場合、フェニトイン、プロ プラノロールやテオフィリン等の医薬品との相互作用があるため副作用の発生は否定できない(11)。

脚注

1.熱帯植物要覧、熱帯植物研究会編、(株)養賢堂.
2.Medical herb index in Indonesia, P.T. Eisai Indonesia, 1986
3.(株)エムケーラボラトリーズ社内資料
4.Kikuzaki et al. LC-MS Analysis and Structural Determination of New Amides Javanese Long Pepper (Piper retrofractum). Biosci. Biotech. Biochem., 57, 1329-1333, 1993. 
5.  V.Yadav et al. Preventive potentials of piperlongumine and a Piper longum extract against stress responses and pain. J Traditional and Complementary Medicine, 6, 413-423, 2016. 
6.  M. Khan. Comparative Physicochemical Evaluation of Fruits and Antidepressant Potential of Volatile Oils of Fruits of Local Piper Species. Oriental J. Chem., 31, 541-545, 2015.
7. KJ Kim et al., Piperine alkaloids from Piper retrofractum Val. Protect against high-fat diet-induced obesity by regulating lipid metabolism and activating AMP-activated protein kinase. Biochem Biophys Res Commun, 411, 219-225, 2011.
8. N. Kim et al., Piperine regulate UCP1 through the AMPK pathway by generating intracellular lactate production in muscle cells. www.nature.com/scientificreport, 2017
9.小池田崇史ほか。無作為化二重盲検比較法によるヒハツ抽出物含有粉末緑茶の正常高値ならびにI度高血圧者に対する長期摂取時の血圧降下作用および安全性の検証試験。薬理と治療、43, 1127-1139, 2015.
10. (株)エムケーラボラトリーズ社内資料
11.長谷川貴志ほか。 黒コショウを含有したいわゆる健康食品におけるピペリン含有量について 。千葉県衛研年報 第 59号、 2010年.

関連人物

関連項目

外部リンク

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コメント / トラックバック1件

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