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レスベラトロールは効くか?

2014年09月11日 16:52 | コメント/トラックバック (2)

NHKスペシャルで報道された長寿遺伝子と
その活性物質レスベラトロール
- 理論と薬効には疑問 -

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レスベラトロールと長寿遺伝子のNHK報道
2011年6月12日に放送されたNHKスペシャル「あなたの寿命は延ばせる 発見!長寿遺伝子」は、多くの日本人に長寿の秘訣を教え、期待させる番組でした。
レスベラトロールは赤ワインに含まれるオリゴフェノールというべき物質で、放送翌日から注文は殺到し品切れになったという。
弊社にも問い合わせがありましたが、残念ながら弊社は天然物全体を摂取することで健康増進を理念としていますので、取り扱っていません。
NHKの放送は、人気タレント萩本欽一さんを案内人としたドキュメンタリーだったようです(残念ながら視聴しませんでした)。

続く、NHK科学番組「サイエンスZERO」でも取り上げられ、サーチュイン遺伝子を研究する日本の科学者も登場し、研究成果の説明がされたようです。

*サーチュインが働くとミトコンドリを劣化させる活性酸素を消去する物質が作られ、神経細胞が長生きになる。このメカニズムが脳の神経細胞でも働くことが確認
*サーチュイン遺伝子の働きを高める物質は、赤ブドウの皮に含まれる微量物質レスベラトロール
*ネズミにレスベラトロールを与えるとスピードが落ちずに走り続ける
*老化に伴い減少する筋肉のミトコンドリアが2倍に増加
*筋肉の若返りで、持久力は1.5倍に増加
*某大手製薬メーカーが、レスベラトロールのようなサーチュインを活性化する物質の研究を行っている
*サーチュインを活性化すると、老化によって起こる様々な病気、糖尿病は心臓病、アルツハイマー病も予防、治療できる可能性がある

そして、NHKは「サイエンンスZERO 長寿遺伝子が寿命を延ばす」、サイエンスZERO取材班+今井眞一郎編著、NHK出版、を出版。
サーチュイン遺伝子とレスベラトロールによって、日本に長寿ブームを巻き起こした。
数年前の民放テレビが行ったと同じ事を行ったのです。

フレンチパラドックス
1990年初頭にフランス人は、チーズやバター、肉やフォアグラなどの動物性脂肪を大量に摂取しているにも拘らず、心臓動脈硬化による死亡率が低いといわれ、これを「フランス人の逆説、フレンチ・パラドックス」と呼ばれています。
その理由は、フランス人が日常的に飲んでいる赤ワインに含まれるポリフェノールによるものとアメリカで報道され、世界でポリフェノールと赤ワインが身体に良いと、ブームになったのです。
そして、赤ワインの有効成分がレスベラトロールというポリフェノールと同定されたのです。
現在では、1997年にフランスの国立保健医学研究機構が、フレンチ・パラドックス説を完全に否定し、フランス人の健康は赤ワインではなく含まれるアルコールによるものとしています。

日本の諺、「酒は百薬の長」だったのです。

レスベラトロールは長寿遺伝子を活性化?
アメリカのハーバード大学のDavid Sinclair博士は、レスベラトロールが長寿遺伝子を活性化すると,2003年に英国科学誌ネイチャーに報告した。
しかし、当初から専門家はその研究結果に疑問を抱いていた。
レスベラトロールはポリフェノールではないし、構造的、機能的にレスベラトロールが特異的にある酵素(サーチュイン)に結合して活性促進効果を示す「夢の素材」であると信じ難かった。
その後、多くの否定的な研究報告芽なされ、現在ではレスベラトロールはサーチュインを活性化し、「長寿の効果」を発揮することは否定されている。

レスベラトロールは重篤な副作用を
2003年 David Sinclair博士は、ベンチャー企業「サートリス・ファーマ」を設立
2008年 世界トップクラスの製薬企業グラクソ・スミス・クライン社(GSK)が「サートリス・ファーム」を720億円で買収
      GSK人での臨床試験開始。
      レスベラトロール1年分を5万4千円でサプリとしてネット販売。
2010年 GSKは突然レスベラトロールの骨髄腫に対する抗がん剤の開発中止を発表。
      重篤な腎臓障害などの副作用が認められた事が中止の理由。
      その後、レスベラトロールのすべての医薬品開発中止。
      David Sinclair博士の実験を追試した結果、レスベラトロールは長寿遺伝子の活性化は起こさない。
      また、高脂血症マウスの血糖値を低下させる作用なし。
2011年6月 NHKスペシャル「あなたの寿命は延ばせる 発見!長寿遺伝子」放送
    8月 NHK科学番組「サイエンスZERO」放送
    10月 NHK「サイエンンスZERO 長寿遺伝子が寿命を延ばす」出版
2012年 レスベラトロール研究論文20報で145件における薬効データの捏造・改ざんが発覚
2013年 GSK、サートリス・ファーマを解散、消滅

急成長のサプリ市場
*アメリカの販売額
 2006年以後30億円規模に

*日本の販売額

2010年 3億円
2011年 15.5億円
2014年現在 多くのインターネットサイトでレスベラトロール商品販売
      市場規模不明

NHKはレスベラトロールのアメリカでの研究経緯を知っており、放送時にはレスベラトロールの実験データに疑義があり、開発中止になっていた事実をつかんでいたと思われる。
NHKは、レスベラトロ-ルの礼賛番組を制作し、虚偽の演出をした可能性が高い。
数年前に頻繁に各民放が犯した同じ過ちを起こしたが、何の理由からか知りたい。

参考資料
1グルコサミンはひざに効かない、山本啓一著、PHP新書
2長寿遺伝子「NHKスペシャル」に異議あり、小野光則著、文藝春秋平成26年10月号
3長寿遺伝子が寿命を延ばす、NHKサイエンスZERO取材班+今井眞一郎編著、NHK出版

ご意見は
mk-info@thisismk.co.jp へ

コメント / トラックバック2件

  1. 佐藤 圭次 より:

    このような記事を載せる以上 、是非NHKさんにクレームなり、意義なりして頂き、その真実をはっきり読者に納得のいくように公表してもらいたい。単発記事で中傷のような記事ではなく、NHKさんの報道も含め科学的根拠を持って改めて記事にしてほしい。冷やかしの類でないことを祈ってます。

  2. MKラボラトリーズ より:

    佐藤 様
    レスベラトロール記事へのご意見誠にありがとうございます。
    決してNHK報道を中傷するのではなく、どちらからといえば否定する目的でこの情報を発信しています。
    本情報の出典も示しており、科学的根拠に基づいたものと考えています。
    弊社もレスベラトロールの抗酸化能(長崎大学薬学部)、抗炎症作用(武庫川女子大学薬学部)の国内成績を入手しており興味を持っていました。
    ぶどうのみならずインドネシアで常食されるメリンジョも調査し、かつデンマークより製品入手も考え準備していました。
    日本国内商品のレスベラトロール含量は、欧米で販売されるその量は数十分~100分の一であり、レスべラトロールの生理活性に大きな違いがあるとの疑問がわき、
    さらに本当にその生理作用は真実であるのか確認する必要があると考えたのです。
    そして、結論的に本情報となったわけです。
    NHKに真実を確認する、科学的な論拠を列記するなどは、弊社の能力を超えているものです。
    ただ、NHKが報道することが総て真実である、と考えるのは危険であること。
    日本の健康に関心のある方は、テレビなどマスメディアの視覚に訴える健康番組については、絶えず疑いの目で見て頂きたいこと、
    を目的として情報発信したものです。
    出典情報をお読みいただければ、どちらが真実であるかのヒントになると思います。

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